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2025.02.02
橈骨神経について

1. 頚椎レベル(C5~T1神経根)
・斜角筋群(前斜角筋・中斜角筋)の間を通る
• 血管:鎖骨下動脈の後方
2. 腕神経叢(brachial plexus, C5~T1)
橈骨神経の分岐
• 腕神経叢の後索(posterior cord)から腋窩神経とともに分岐
• 筋肉:肩甲下筋(subscapularis)の前方を走行
• 腋窩動脈(axillary artery)の後方
3. 腋窩部(axilla)
• 腋窩を通り、上腕の後方へ進む
※後上腕皮神経への分岐
• 腋窩神経と分かれた後、広背筋の前方を通り三頭筋裂孔へ。上腕三頭筋長頭の内側を走行

• 上腕三頭筋(長頭・外側頭・内側頭)の間を通過
• 腋窩動脈の後方 → 上腕深動脈(deep brachial artery)と伴走
4. 上腕部(humerus posterior side)
• 上腕骨の後面にある橈骨神経溝(らせん溝)を走行

※絞扼ポイント(橈骨神経溝)
• 上腕三頭筋の深部を通る
• 上腕三頭筋(特に外側頭と内側頭の間を走る)
• 上腕深動脈と伴走
5. 肘部(cubital fossa, radial head)
• 上腕骨外側上顆の上で前方へ回り込む
• 肘窩(肘前面)で「浅枝」と「深枝」に分岐」
周囲の構造
• 腕橈骨筋(brachioradialis)の深部を通る
• 回外筋(supinator)の近くで深枝が分岐
• 橈骨動脈(radial artery)が近くに走行
6. 前腕部(forearm)
深枝(posterior interosseous nerve)
• 回外筋を貫通し、前腕の伸筋群を支配

※回外筋の貫通部位、フローゼ腱弓は絞扼の好発部位
• 手関節・指の伸展を担当
浅枝(superficial branch)

• 橈骨の外側を走り、手背(親指側)の感覚を支配
• 浅枝:腕橈骨筋の下を走る
• 深枝:回外筋・長橈側手根伸筋・短橈側手根伸筋の間を走る
• 深枝:前腕の骨間動脈(posterior interosseous artery)と伴走
• 浅枝:橈骨動脈に近い位置
7. 手部(dorsum of the hand)
• 手背(母指・示指・中指の橈側)に感覚枝を送る
• 手掌には分布しない(正中神経・尺骨神経が支配)
まとめ(C5~T1 → 橈骨神経の詳細な流れ)
1. C5~T1神経根 → 斜角筋間を通り、腕神経叢を形成
2. 腕神経叢の後索から橈骨神経が分岐(腋窩動脈の後方)
3. 腋窩部 → 上腕三頭筋の間を走行
4. 上腕部 → 上腕骨の橈骨神経溝を通る
5. 肘部 → 外側上顆の近くで前方に移動し、浅枝・深枝に分岐
6. 前腕部 → 深枝は回外筋を貫通し伸筋群を支配、浅枝は手背の感覚を担当
7. 手部 → 手背の親指・示指・中指橈側の感覚を支配
◯橈骨神経の支配筋
• 上腕三頭筋(長頭・外側頭・内側頭)
→ 肘を伸ばす(肘関節伸展)
• 肘筋(ちゅうきん)
→ 肘を伸ばす補助
• 腕橈骨筋(わんとうこつきん)
→ 肘を曲げる(屈曲)、前腕を回外・回内の中間位に維持
• 長橈側手根伸筋(ちょうとうそくしゅこんしんきん)
→ 手首を伸ばす(手関節背屈)、手首を親指側に傾ける(橈屈)
◯橈骨神経深枝(運動神経)
• 短橈側手根伸筋(たんとうそくしゅこんしんきん)
→ 手首を伸ばす(手関節背屈)
• 総指伸筋(そうししんきん)
→ 指を伸ばす(MP関節伸展)
• 小指伸筋(しょうししんきん)
→ 小指を伸ばす(MP関節伸展)
• 尺側手根伸筋(しゃくそくしゅこんしんきん)
→ 手首を伸ばす(手関節背屈)、手首を小指側に傾ける(尺屈)
• 回外筋(かいがいきん)
→ 前腕を回外(手のひらを上に向ける)
• 長母指外転筋(ちょうぼしがいてんきん)
→ 親指を外に開く(外転)
• 短母指伸筋(たんぼししんきん)
→ 親指のMP関節を伸ばす
• 長母指伸筋(ちょうぼししんきん)
→ 親指のIP関節を伸ばす
• 示指伸筋(じししんきん)
→ 人差し指を伸ばす
◯橈骨神経浅枝(感覚神経)
→ 手背の親指側(第1〜3指の背側)と前腕の背側の感覚を支配
(手のひら側の感覚は支配しない)
橈骨神経は「手首・指を伸ばす筋肉」「肘を伸ばす筋肉」「前腕を回外する筋肉」を支配します。
特に「橈骨神経麻痺」が起こると、手首や指が垂れ下がる(下垂手)のが特徴的な症状です。
橈骨神経障害とは?
「手首や指がうまく動かせない」「腕の外側がしびれる」なんて症状がある方、もしかすると橈骨神経にトラブルが起きているかもしれません。
この神経が障害されると、 動きにくさや しびれ・痛み などが起こることがあります。
橈骨神経が傷つきやすい場所
橈骨神経は腕の中を長く走る神経なので、 障害が起こる部位によって症状が変わります。
特にトラブルが起きやすいのは、次の3つのポイント。
1. 上腕の真ん中あたり(高位麻痺)
・上腕骨の「橈骨神経溝」という溝の部分 で、骨に近いため外部の影響を受けやすい。
原因の例
・上腕骨の骨折
・強い圧迫(腕枕で長時間寝る「ハネムーン麻痺」、泥酔して腕を圧迫する「サタデーナイト麻痺」)
・筋肉の異常な緊張(上腕三頭筋が固くなる)
2. 肘の近く(低位麻痺)
・回外筋という筋肉のあたり で、筋肉の異常な緊張が原因になりやすい。
原因の例
・前腕を回す動作の繰り返し(テニスのバックハンドなど)
・ガングリオン(手首の近くにできる腫瘤)
・関節リウマチ
3. 脇の下(腋窩部)
・松葉杖や椅子の背もたれなどで強く圧迫されると、神経がダメージを受けることがある。
・長時間の圧迫(例:松葉杖を強く押し付ける、椅子の背もたれに脇を乗せて寝る)
・上腕の脱臼や骨折
症状の違いは?—高位麻痺 or低位麻痺
橈骨神経のどの部分が障害されるかで、 「高位麻痺」と「低位麻痺」 に分かれます。
◯高位麻痺(上腕での障害)
特徴
・ 手首がダラッと垂れ下がる(下垂手)
・ 指を伸ばせない(MP関節が伸びない)
・ 知覚障害あり(親指側の手の甲などにしびれ)
・ 肘を伸ばす力が弱くなることも
◯低位麻痺(肘の近くでの障害)
・特徴
・ 手首は伸ばせるが、指が伸ばせない(下垂指)
・ 知覚障害はなし(深い部分の神経が障害されるため)
・ 手首を背屈すると、親指側に偏る
簡単な見分け方!
・手首が下がるなら「高位麻痺」
・手首はOKだけど指が伸びないなら「低位麻痺」
チェック方法
こんな方法でチェックします!
・ティネル徴候(障害された神経の部位を叩くとしびれが広がる)
・圧痛の確認(押して痛みがあるか)
・腕や指の動きのテスト(どの関節が動かないかチェック)
・レントゲン・MRI(骨折や腫瘍の確認)
・筋電図検査(神経の働きを調べる)
改善方法は?—カイロプラクティックの視点から
◯まずは背骨・骨盤をチェック!
橈骨神経障害は、 全身のバランスを整えること も大切です。
・橈骨神経は 首(頚椎5番~胸椎1番)から出るため、背骨のバランスが崩れると二次的に神経障害が起こりやすくなります。
・骨盤・背骨を整えることで、神経の流れが改善されることも!
◯局所的なアプローチ
・高位麻痺 の場合
・肩・肘の矯正
・上腕三頭筋や腕橈骨筋の筋膜リリース
◯低位麻痺 の場合
・肘・手首の矯正
・回外筋や手首の伸筋群(長・短橈側手根伸筋)を緩める
◯セルフケアのポイント!
・長時間同じ姿勢を避ける(特に腕枕や圧迫)
・前腕のストレッチ(回外筋をほぐす)
・手首や指を軽く動かして血流を促す
まとめ:橈骨神経障害は早めのケアが大事!
・手首や指が伸ばせない、しびれがある場合は橈骨神経の障害を疑ってみる!
・障害の部位によって「高位麻痺」と「低位麻痺」に分かれる。
・カイロプラクティックで全身のバランスを整え、局所的なケアをするのが効果的です!